「ねえばあちゃん、なんで父さんと母さんは死んじゃったの? なんで僕を置いていったの?」
「ナオちゃん……」
「僕が我儘言ったから? 先にじいちゃんとばあちゃんのところに行きたいって言ったから? だから父さんと母さん、怒ったの?」
「そうじゃない、そうじゃないよ、ナオちゃん……」
「……僕が悪いの? 僕が父さんと母さん、殺しちゃったの?」
* * *
「……」
静かに目を開ける。
まだ体は熱かった。口の中も乾いている。全身に汗が纏わりついて気持ち悪かった。 だから思い出したくない過去を蘇らせてしまったのだ。 そう思い苦笑した。「……」
傍らに人の気配がした。ゆっくり首を傾けると、額からタオルが落ちた。
「ごめんなさい、起こしちゃったかしら」
つぐみだった。月明かりの差す部屋の中、つぐみは枕元に座り、自分の顔を覗き込んでいた。
「……つぐみ……ずっといてくれてたのか」
「ずっとって訳じゃないわよ」
「ははっ」
つぐみの答えは、ずっと傍にいたと言ってるようなものだった。
「悪いな、こんな時間まで……今、何時だ?」
「全くよ。私をこんな時間まで付き添わせるなんて、高くつくから覚悟しなさいよ」
「だな」
「今は夜中の3時半よ。どう? 少しは楽になった?」
「どうかな……まだちょっと、息も熱いし……」
つぐみが額に手をやる。ひんやりとしていて気持ちよかった。
「まだ下がってないわね。お水飲む?」
「ああ、頼む。口の中が乾いて気持ち悪いんだ」
「起きれる?」