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Home / 恋愛 / あおい荘にようこそ / 038 思い出の歌

038 思い出の歌

2025-06-21 17:00:03

「ねえばあちゃん、なんで父さんと母さんは死んじゃったの? なんで僕を置いていったの?」

「ナオちゃん……」

「僕が我儘言ったから? 先にじいちゃんとばあちゃんのところに行きたいって言ったから? だから父さんと母さん、怒ったの?」

「そうじゃない、そうじゃないよ、ナオちゃん……」

「……僕が悪いの? 僕が父さんと母さん、殺しちゃったの?」

 * * *

「……」

 静かに目を開ける。

 まだ体は熱かった。口の中も乾いている。全身に汗が纏わりついて気持ち悪かった。

 だから思い出したくない過去を蘇らせてしまったのだ。

 そう思い苦笑した。

「……」

 傍らに人の気配がした。ゆっくり首を傾けると、額からタオルが落ちた。

「ごめんなさい、起こしちゃったかしら」

 つぐみだった。月明かりの差す部屋の中、つぐみは枕元に座り、自分の顔を覗き込んでいた。

「……つぐみ……ずっといてくれてたのか」

「ずっとって訳じゃないわよ」

「ははっ」

 つぐみの答えは、ずっと傍にいたと言ってるようなものだった。

「悪いな、こんな時間まで……今、何時だ?」

「全くよ。私をこんな時間まで付き添わせるなんて、高くつくから覚悟しなさいよ」

「だな」

「今は夜中の3時半よ。どう? 少しは楽になった?」

「どうかな……まだちょっと、息も熱いし……」

 つぐみが額に手をやる。ひんやりとしていて気持ちよかった。

「まだ下がってないわね。お水飲む?」

「ああ、頼む。口の中が乾いて気持ち悪いんだ」

「起きれる?」

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